あなたがパートナーとの間で取り交わした離婚に関する様々な取り決めを記載しておく公文書のことです。
公証人は判事・検事・弁護士・法務局長等のOBの中から法務大臣に任命されています。
公正証書とは、公証役場の公証人が、契約当事者双方・被相続人等の嘱託人の依頼により作成又は認証した契約書・遺言などの契約書類です。
公証人の作成する公正証書には判決と同等の効力が認められています。
公証役場・公正証書などという言葉すら一般的にはなじみが薄く、無縁の存在と考える方が多いのですが、契約書作成に関しては経費的に安く、契約履行を迫る場合に公正証書は判決と同等の効力がありますので積極的に利用すべきです。
二人の間で交わされた書類が実は法的な効力の無いものだったり、口約束で後に守られなかったなどということが無いように公正証書を作成することをおすすめします。
公正証書とされる事項は下記のようなものがあります。
・財産分与・慰謝料・養育費など・親権・監護権・面接交渉権など
公正証書の作り方
あなたがパートナーと一緒に公証役場に行くことになった場合、出来ることなら1回で終わらせたい。
別々の道を進むことを決めた2人、なるべく会うことなく手続きを進めたい、そう考えるのは当然です。
夫婦双方が公証役場に出頭し、公証人の面前で離婚協議書・合意メモ又は口頭で合意内容を説明、それを基に公証人が公正証書を作成します。
公証役場は、夫婦間の仲裁・調停はしませんので、夫婦二人が公証役場に出頭する前に離婚条件が合意されている事が必要です。
事前の準備が万全でないと、不足書類などの理由で何度も公証役場に出向かなければならなくなります。
「どうしても都合で行けない」「パートナーに会うこと自体イヤだ」そういうときには代理人をお願いしましょう。
あなたの家族または専門家にお願いするのがいいでしょう。あなたが直接公証人役場へ行く場合と、代理人にお願いする場合とでは持参する書類が異なります。
あなたが行く場合は必要ありませんが、代理人にお願いする場合、あなたが代理人をお願いした証明(委任状)代理人の身元を証明する書類(印鑑証明書・実印)が必要になります。
不足書類などで出直しなどにならないよう、事前に準備を整えてから向かうようにしたいものです。
公正証書があれば大丈夫!のように思われがちですが
それは大きな間違いです。公正証書の価値はその中身です。
慰謝料、養育費が払われなくなった、いざ公正証書の出番です。
公正証書の中に強制執行受諾の記載が無ければ、元パートナーの財産や給料の差し押さえが出来ません。
費用的な負担は増えますが、行政書士や弁護士などの専門家に公正証書の作成を委任することをおすすめします。
公正証書に決まった書式はありません。
公証人の作成の仕方で全てが決まります。後々落ち度を発見しても遅いのです。
失敗しない公正証書の作り方
公正証書作成時のトラブルと対処方
1 相手方が約束の日時に公証役場に来なかった。
2 相手方が公証人に約束の金額を再確認された途端、実際の支払いの大変さを自覚し、前言をひるがえして、公正証書の作成をその場で拒否した。
などのケースがあります。そんな事態にならないように注意してください。
離婚協議書を作成して相手方に署名・押印をさせておけば、相手方が約束を反故(ほご)にする確率はかなり低 くなります。
公正証書作成時の留意点
●不測の事態に備えて可能であれば連帯保証人を付けてもらう事。
●可能であれば強制執行認諾条項を付けてもらう事。
●一旦契約が成立しますと、その後の養育費の値上げは困難になります。
可能であれば上級学校へ進学時に値上げする額、入学経費の半額負担等の条件を明記しておく事。
◆強制執行
公証役場で作成する公正証書、家裁の調停で作成する調停調書は、法律上は確かに強制力という点に関しては、判決と同等の効力がありますが実際問題として離婚の公正証書・調停調書に基づいた強制執行は
1 婚姻費用分担、養育費などの履行遅滞の金額が少額であること。
2 手続が面倒なこと。時間がかかること。
3 強制執行が経費倒れ(赤字)の可能性が高いこと。
4 強制執行(差押・競売)の強行が相手の感情を害して以降の支払が止まる恐れがあること。
5 夫婦・親子間の人間関係を破壊すること等から余程の状況でなければ使えません。
強制執行認諾条項は、多額の財産分与・慰謝料が絡んでいる場合には必要ですが、 契約内容が少額の婚姻費用分担、養育費のみであるある時は、強制執行認諾条項の挿入をめぐって大喧嘩し、協議・契約が不成立にいたるなどは考えものです。