親権について
親権者とは
■親権は、身上監護権と財産管理権からなる
■未成年の子供の親権者を決定しないと離婚できない
■夫婦で親権者を決めれない場合は、調停や裁判で決めれる
■親権者の決定は、親の意思より子供の福祉と利益が優先される
■親権者の決定は、子供の意思が尊重される
■子供が複数いる場合、原則的に一方が全ての子供の親権者となる
■妊娠中の母親が離婚した場合は、自動的に母親が親権者となる
婚姻中は、子供が成人に達するまで夫婦が共に子供の親権者となります。
しかし、離婚後は、夫婦が共に親権者となることはできないため、夫婦のどちらか一方が親権者となります。
協議離婚の場合、未成年の子供の親権者を決めなければ離婚届は受理されません。
親権者の決定は、夫婦の話し合いで円満に決めることが理想的ですが、親権の奪い合いになり話し合いがこじれた場合は、家庭裁判所に申し立てを行い調停か裁判で親権者を決定します。
調停離婚の際に親権の決定も同時に申し立てることもできます。
また、夫婦双方で離婚の合意ができている場合は、親権者の決定のみを調停に申し立てることができます。
裁判所で子供の親権者を決定する際に決定の基準となっているのは、どちらの親を親権者に定めた方が子供の利益と子供の福祉に良いかということです。 具体的には以下の項目が考慮されているようです。
・親の監護能力、心身の健全性
・親の居住環境、家庭環境、教育環境
・子供に対する愛情
・子供を育てる意欲 ・経済状況
・子供の年齢 ・子供の意思
・子供の居住環境、適応性
経済状況とは、経済的にどちらの親が裕福であるかが比較されるのではなく、親に定職があり、親と子が生活をするのに不自由しない収入があるか審査されます。
また、経済状況の審査には、定職がなく収入が少ない場合でも、親の両親、兄弟などと生活を共にし援助が受けられる場合や、一方の親からの養育費の金額などが考慮されます。
親権者の決定には、子供の年齢が深く関わります。
子供の年齢が、10歳未満の場合は、子供の衣食住の世話が必要なため母親に親権が認められる傾向があります。
15歳前後では、子供の発育状況や子供の意思を尊重して親権者を決定します。
15歳以上の場合は、子供に判断をさせることが多いようです。
子供が何人もいる場合、夫婦で子供の親権を分けることは法的に問題はありません。
しかし、調停か裁判では、夫婦のどちらか一方が子供全員の親権者となることが原則とされています。
特に子供の年齢が低い場合は、子供達を分けることで子供の成長に悪い影響を与えてしまうことが懸念されるからです。
但し、子供がある程度の年齢に達している場合や、やむを得ない事情がある場合は、親権を分けることができます。
妊娠中の母親が離婚した場合、子供の親権者は母親になります。
但し、出産後に親同士で話し合って父親を子供の親権者に変更することが可能です。
また、離婚前に子供を連れて別居し、別居期間が長い場合は、子供が別居後の生活に順応していると考えられ、子供と生活をしている親の方に親権が認められることが多いようです。
親権者変更
(1) 概要
離婚の際に未成年の子供がいる場合には,父母の合意で親権者を定めることができますが,離婚後の親権者の変更は,必ず家庭裁判所の調停・審判によって行う必要があります(親権者が行方不明等で調停に出席できない場合などには,家庭裁判所に親権者変更の審判を申し立てることができます。)
親権者の変更は,子供の健全な成長を助けるようなものである必要があるので,調停手続では,申立人が自分への親権者の変更を希望する事情や現在の親権者の意向,今までの養育状況,双方の経済力や家庭環境等の他,子の福祉の観点から,子供の年齢,性別,性格,就学の有無,生活環境等に関して事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらうなどして事情をよく把握し,子供の意向をも尊重した取決めができるように,話合いが進められます。
なお,話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され,家事審判官(裁判官)が,一切の事情を考慮して,審判をすることになります。
(2) 申立人 ■子供の親族
(3) 申立先 ■相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
管轄裁判所を調べるにはこちらから
(4) 申立てに必要な費用
対象となる子供1人ごとにつき収入印紙1,200円
連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)
(5) 申立てに必要な書類
■申立書1通
■申立人,子供の父母,子供の戸籍謄本各1通
※事案によっては,このほかの資料の提出が必要になります。